内部監査室の高橋です。今年の5月末に決定した当社の東証一部への市場変更。経営企画室、経理財務、人財戦略室、内部監査室のメンバーが中心となって取り組んできたこのプロジェクトを、今回キックオフという場で表彰していただくことが出来ました。
評価されたのは、「課題を整理(問題発見力)」し、「関係者の協力を得ながら対応策を検討(他者活用力)」し、「具体的な対応策(仮説検証力)」に落とし込み、「決められた期日までに対応を完了(目標必達性)」できた点。この要素はどんなプロジェクトであっても必要不可欠です。
1年3ヶ月という時間的制約がある中、東京証券取引所が求めるレベルは要望度が高く、進捗は困難を極めました。成功に導く為に培った要素のひとつひとつは、通常業務のクオリティーアップや今後のプロジェクト推進の際に役立つと考えています。
プロジェクトの裏話は以前こちらの記事でご紹介させていただきましたので今回は、実際に我々が実行してきたことをご紹介します。
■課題抽出と対応案の検討
2017年2月から約2ヶ月をかけ 、各事業の業務フロー 、内部管理体制、コーポレートガバナンス、コンプライアンス、労務管理、過年度業績の確認など様々な観点で、東証一部上場企業としての課題がどこにあるかを総点検し、対策案を検討し実施していきました。
■400ページにも及ぶ資料の作成
企業の歴史(沿革)、企業グループの変遷、経営方針、業界の動向、同業他社の状況、今後の見通し、知的財産権の状況、経営管理体制、内部監査の実施状況、リスク管理、コンプライアンス体制、反社会的勢力の排除体制、経理の状況、取引状況、資金繰りの状況、各種契約の状況など、数百項目にも渡る企業の現状について詳細に記載した資料を6ヶ月かけて作成。当社の場合、400ページに及ぶ膨大な資料 となりました。
■証券会社の引受審査対応
約3ヶ月の間に、前述の資料に基づいて証券会社から東証一部上場にふさわしいかどうか質問を受ける機会が3回に分けて行われます。その質問への回答書作成を行いました。証券会社からの質問数 は全部で400問。
即答できる質問は少なく、過去の経緯や現状を改めて確認・調査が必要なものや、海外を含めた子会社の事情を詳細にヒアリングしなければならないものなど、時間の掛かるものが数多く含まれていました。その上、1回の質問に対しては、2~3週間程度の準備期間しかなく全員が通常業務を抱えている中で+α回答書の作成業務となり、かなりの業務がのしかかりました。
■東京証券取引所による審査対応
約2ヶ月の間に、 今度は証券会社の質問よりも更に厳しい東京証券取引所からの質問に対する回答書の作成を行いました。今回の質問数は全200問と、証券会社に対する質問数よりは少なかったですが、ひとつひとつの質問内容は、上場審査を認めるかどうかの見極めの質問。より会社の内情に踏み込んだものばかりで回答に時間を要するものでした。
こういった細かな業務を経て、当社の東証一部への市場変更が認められました。作成した資料は重ねるとおよそ2メートルにもなりました。 一つでも書類が揃っていなかったり、質問への返答が出来なかったりすると今期の市場変更は承認されません。
各メンバーが慎重に、緊張感を持って、そして相手への信頼を持って進められたからこそ、今回の一部上場への承認というプロジェクトの成功につながったと考えています。