エン・ジャパンが掲げる「入社後活躍」。採用や入社はあくまでスタート地点であり、その後の定着・活躍までを実現するという考え方は、人材業界においてもスタンダードになってきています。もちろん、自社においても社員の「入社後活躍」を追求しており、オンボーディングの取り組みもそのひとつです。
今回はエンの人財戦略室（人事部門）において、オンボーディングを企画・運営してきた南條夏さんに、導入されている施策の内容や、「入社後活躍」への想いをお聞きしました。
～用語解説：「オンボーディング」とは？～
早期離職の防止や、新入社員の即戦力化を実現するために実施される、各種取り組みのこと。労働力人口の減少による人材不足の深刻化、リモートワークの普及による人間関係構築の難易度上昇などを背景に、オンボーディングの必要性はますます高まっています。
まず、エンでのオンボーディングの取り組みについて教えてください。
中途入社者の例をとると、最初に導入研修を実施し、早期活躍のための土台づくりを行ないます。会社に関する理解を深めてもらうことはもちろん、適性テストの結果をもとに自己理解を進めることで、ご自身の考え方のクセなどを把握してもらい、周囲のメンバーとの関係構築が円滑になされるよう支援しています。
入社2ヶ月後にはフォロー面談を実施。毎月、アンケートを配信し、仕事で充実感を得ているか、業務量は適切か、体調に不安がないか、といったことを回答してもらいます。業務や人間関係でつまずいている様子があれば、事務局からメールやチャットで連絡をとり、場合によっては面談を実施する、という流れです。
アンケートでは、どんな悩みが多いのでしょうか。
特に多いのは、業務量や難易度に関するものですね。「入社前に聞いてはいたけれど、想像以上に忙しい」とか、「マルチタスクの難しさに慣れない」といった相談が多いです。一方、人間関係に関する悩みについては、年々減少傾向にあります。現場でも新入社員や中途入社者の受け入れのノウハウが蓄積されてきて、コミュニケーション上で気をつけるべきポイントなどが、明確になってきたことが要因ではないかと考えています。
とはいえ、相談に二の足を踏む方もいるのではないですか？
私たちはできるだけ早い段階で、どんな小さなことでも相談してほしいと思っています。そのためには事務局と社員の信頼関係が大事になりますから、中途入社者の導入研修のなかで交流ランチにも参加し、安心して仕組みを利用してもらえるように心がけていますね。まずはお互いの顔を知って、なにかあったときに声をかけてもらえる関係性になりたいと考えています。
アメリカの学者で、全米キャリア開発協会の会長も務めたナンシー・K・シュロスバーグは、転機を乗り越えるためには「4つのS」が重要だという理論を提唱しました。具体的には「Situation（状況）」「Self（自分）」「Support（支援）」「Strategy（戦略）」です。
このなかで私たちが担っているのが、3つ目の「Support（支援）」。良好な人間関係を築き、励ますと同時に、課題を解決するための情報を提供したり、キーパーソンからの支援が受けられるような体制づくりに協力したり。就職や転職という転機を乗り越えるためのサポートを行なっています。ですから、「ちょっと愚痴を聞いてほしいな」くらいの気持ちで、声をかけてほしいですね。
大変なことも多いと思いますが、その原動力はどこにあるのでしょうか。
私は新卒でエンに入社したのですが、1年目は泣き言ばかりいう社員だったんです。当時の上司に「会社を辞めたい！」って話をしたら、2時間くらい向き合ってくれて。「南條さんはどうしてこの会社に入ろうとしたの？」と聞かれて、「成長したかったからです」と答えたら、「じゃあ、成長したっていえるまでは辞めたらだめだよね」って叱られました。あとから人づてで聞いた話なんですが、その日は上司の結婚記念日で、旦那さんとお祝いの席を準備していたらしくて。そんなときに、私のために時間をつくってくれたことに、申し訳ないという気持ちと、自分が変わらなきゃ、という想いがわいてきました。この出来事が、私の「入社後活躍」に対する考え方や、オンボーディングに関する情熱につながっていると思います。
エンって会社は、本当に愛情が深いと信じてますし、だからこそもらったぶんは、返していきたい。受けた恩を、ほかの人に送っていくことができたら、組織の課題に対してもみんなで協力して取り組んでいけるんじゃないでしょうか。
ありがとうございました！