千葉暮らしのコピーライター・あおきです。
びっくりするほど夏ですね。
痛いくらい照る太陽。真っ青な空。入道雲。
そして、夏といえばやっぱりアレ。
ひと夏の甘酸っぱい思い出。
教室の窓から見つめたグラウンドを走る姿、
憧れの同級生と待ち合わせて巡った夏祭り、
夜の海でこっそり火をつけた線香花火……。
目をつぶればフルカラーで思い出せる。
そういう季節じゃないですか。
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そう、たとえば木更津の江川海岸。
宿題とプールが終わってから、
水平線に沈む夕陽を眺めに行く。
そうすると決まって会う男の子がいた。
対岸に見える君津の工場群を指さして、
「煙突から煙が出て見えるけど、あれはただの水蒸気だ」とか。
よく分からない話をしていたその子は、
近くの私立中学に通う大人びた子で。
陽が落ちたら家に帰らなきゃいけない。
「帰らなくていいの?」
って言われたくなかったから、
話が途切れないように、
延々しりとりをしていた 夏。
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そう、たとえば館山の夕映え通り。
模試があった日の帰りは、
幼馴染とファミレスで自己採点をした。
自転車で二人乗りするときの、
自分と違う汗のにおいと、
ゴツゴツした肩の骨を覚えてる。
1~2教科はマジメに採点するんだけど、
結局飽きて勝った負けたとか騒ぎ出して、
すっかり馴染みの店員さんに怒られて。
あんたのせいだ、お前のせいだ、
って言い合うまでが1セット。
高3の夏。
いつもみたいにファミレスから北条海岸に流れて、
思い切って、
「東京の大学を受ける」って言ったときは、
「じゃあ俺も」ってなるの、
1mmくらいは期待してたんだけどな。
電車で2時間半。
映画1本ぶんくらいの距離が、こんなに遠いなんて思わなかった 夏。
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そう、たとえば銚子の犬吠埼。
社会人になりたての夏休みは、
人混みに行く気分じゃなかった。
電車に乗ってひとりで向かったのは、
太平洋に突き出した岬。
海を眺めてぶらぶらしていたら、
バイクから「駅まで送ります?」って
声をかけられて、ちょっとビックリした。
1人で歩いていたから、
何かを思いつめた人に見えたかな?
苦笑いしつつお断りをしたんだけど、
なんだかんだ駅でまた一緒になって。
銚子電鉄の終着、外山のあたりで暮らしていること。
いちどは東京で就職したけど、息苦しくてUターンしたこと。
そんな話をするうちに、
空が藍色に変わりはじめれば、
1時間に1本だけの上り電車がやってきて。
車窓から手を振りながら、
名前も知らないことを思い出した、夏。
あの人は、今……
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というのは
100%妄想なわけで、
私は生まれも育ちも東北の田舎なわけで、
短い夏はひとり図書館で過ごしたわけで、
思い出すのはインクの匂いばかりですが、
江川海岸や館山や犬吠埼が素晴らしいのは、100%事実です。
夏の思い出が足りない人は、ぜひ千葉へ。
そう、思い出は、つくれる。